一本の糸

箏に向かうとき
私はいつも 「音の向こう側」を思います
 
糸の震えは
ただ美しさを語るためではなく
人の心にそっと触れるためにある
 
舞台に立つたび
私は自分の中の静かな泉をすくい上げ
誰かの記憶や痛み
願いとそっと重ねていく
 
箏曲は 古いだけではなく 
今を生きているもの
季節の風のように 
今日の私を通って
また別の誰かへ渡っていく
 
だから私は
一本の糸のかすかな揺らぎにも
誠実でありたいと思うのです
 
            山路みほ
 
 
 

一本の糸

 

箏に向かうとき
私はいつも 「音の向こう側」を思います
 
糸の震えは
ただ美しさを語るためではなく
人の心にそっと触れるためにある
 
舞台に立つたび
私は自分の中の静かな泉をすくい上げ
誰かの記憶や痛み
願いとそっと重ねていく
 
箏曲は 古いだけではなく 
今を生きているもの
季節の風のように 
今日の私を通って
また別の誰かへ渡っていく
 
だから私は
一本の糸のかすかな揺らぎにも
誠実でありたいと思うのです
 
            山路みほ